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ごあいさつ

障害科学学会会長就任にあたって

園山 繁樹(島根県立大学教授,筑波大学名誉教授)

このたび、四日市章会長の後任として会長に就任致しました。本学会は平成18年度に設立され、以来毎年度、機関誌「障害科学研究」発行と総会(研究大会)開催を行い、障害科学に関する研究の推進と成果の社会還元に努めてまいりました。特に、若手研究者や大学院生の研究力育成には大きな貢献をしてきました。さらに今期からは、学会役員体制として、母体である筑波大学人間系障害科学域以外の先生方にも多数理事として運営に参加していただくことになりました。本学会の裾野がさらに広がり、障害科学に関するますますの貢献が期待されております。

現在、世界は新型コロナという新たな課題への挑戦の真っ只中にあります。障害を有する人たちやそのご家族、支援する人たち等々、多くの人たちが大きな環境変化の中で多大な努力を重ねられている最中です。研究者や実践者もこれまでになかった新たな発想や試みをしているところです。まだ先は見通せませんが今の時期を何とか乗り越え、新たな障害科学の地平に向かってそれぞれの立場で日々努力していきたいと思います。

個人的には「障害科学研究」掲載論文の多様性と新規性を楽しみにしています。私の専門である行動情緒障害関係以外にも障害を取り巻く様々なテーマが取り上げられ、これまでにない新たな課題・視点・方法論などを、一つひとつの論文から学んでいるところです。特に大学院生や若手の方には、論文を発表することで次のステップに立つことができた自分を感じてほしいと願っています。私自身、大学院生や30代で書いた自分の論文を授業等で改めて読み直す機会があります。その時、「あの時はこんなことを考えていたのか」と振り返るとともに、時には「今の自分が書くよりも立派なことを書いている」と昔の自分に関心することもあります。論文を書いて発表することは、自分自身を「新たな自分に更新」していく一つの手段と思います。論文を書くことで次のステップに進んでいただきたいと思います。それが障害科学の発展につながり社会の発展につながっていくと思います。

最後になりましたが、障害科学学会の運営に筑波大学の先生方に多大なご努力をいただいていることを深く感謝申し上げます。変化の激しい大学の中で学会運営に携わっていただくことは、並大抵の努力では務まらないことと考えております。 我が国の障害科学の発展に本学会が一層の貢献ができることを願って、会長就任の挨拶とさせていただきます。